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6月2日

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審美歯科
歯科医療にとって審美性が大切であることには異論はありません。しかし審美性が一人歩きをすることには昔から疑問を感じています。明らかな異常と誰もが感ずるような場合であればその改善は納得できますが、それでも僅かな改善のために大きな代償を払うことには疑問が残ります。
痛みや苦痛が主訴であればそれを取り除くというはっきりした目的があります。しかし審美性に関しては、正常と異常の境界をどう設定するか、むずかしい問題です。患者の訴える異常と、歯科医から見た異常も一致することは少ないものです。さらに歯牙単位であれば周辺にマッチさせるしかない目標も、範囲が広がるとともに顔貌との調和などというむずかしさも入ってきます。歯だけの美しさを追いかければ良いということではなく、状況によっては一人の歯科医には背負い込めないほどのものになります。
それでも術前の状態が最悪であれば、あまり悩むこともなく失われたものの回復もできるかもしれません。しかし微妙な改善のためにどこまで犠牲を払うかは問題です。少なくとも患者の要望に合わせて、改善の巾は控え目に決められるべきでしょう。これまでの歯科医療の流れを見てきても、歯科医側が考える理想像はその時々で変わってきました。新しい手法が定着するには少なくとも10年の年月が必要なように思います。
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6月8日

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医学に国境はないが、歯科臨床には国境がある。
国連やサミットのニュースを聞いていても、国際間の協調のむずかしさを感じることが多いこの頃です。
これに較べれば大した問題ではないかもしれませんが、歯科の臨床に関しても個別な症例の治療方針になると、国や人種の違いは大きな壁になります。ヨーロッパの人たちは何かにつけて日本人の感性に近く、古い歴史を引きずっている共通項はあるのですが、患者と術者の距離のとり方は大きく違います。いくつかの国で10人ほどの歯科医と、かなり親しくお付き合いしていた時期がありました。親日家といってもよい方々で、日本文化や生活にも大きな関心を持たれ、こちらからだけでなく「臨床歯科を語る会」などにも何度も参加して頂きました。お友達としては素晴らしい方々でした。しかし彼らの目にはほとんどホープレスト思われる歯牙を、患者ともども保存に努力する日本的臨床は理解できなかったようです。
反対にわれわれにとっては、パリコレクションのように次々と華やかを追いかけるセミナーや、作られたケースのオンパレードにはついていけませんでした。そのことは何度も話題にしましたが「競争に勝ち残れない講演者は消えていくだけだ。」と取り合ってもらえませんでした。
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6月14日

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収納
始めの開業から4回の引っ越し、全面改装などを繰り返してきましたが、現在の形に落ち着いたのは1977年のことです。その後も別フロアに6坪ほどの収納スペースを設けたり、院内の大幅変更は行いましたが外枠は変えずに来ました。全体に余裕があるので25年を経ても特別な問題は感じていませんが、さすがに収納量の多さは気になってきました。特に動かない物の増加に問題を感じています。上の写真は受付事務を行っているスペースですが、5段5台のスチールキャビネットが並んでいます。一部にはスライドも入っていますが、保存用の会計資料は段ボール詰めにして倉庫に下ろしていますからカルテがその多くを占めています。
院内にはこの約3倍のスチールキャビネットがあります。キャビネット自体が占めている面積は2.3坪ほどですが開閉や人が作業するスペースを考えると7〜8坪になります。いつ使うともしれないものに、このスペースはとんでもないことなのですが減量は簡単ではありません。
- 書籍、雑誌、書類はいつか使う可能性がありそうです。これまでも整理して製本してみたり、数年間保存したりしてきましたが、今回から2誌だけを1年、後はその月に捨てることにしました。書籍もスリム化しました。
- 経理書類、カルテなどには保存義務があります。事務書類はすでに1年単位に段ボール詰めになっていますから問題ないのですが、1年2個10個以下にはなりません。カルテは5年経過し継続していない人を選別し廃棄しました。
- 古いスライドには、現在継続していなくても時代々々の思い入れがあります。一枚一枚マウントに入れ、日付をうち、個人通し番号を付けて保存してきました。カルテのように多数ではありませんし、折に触れ中断者は整理してきました。私にとって最大の資産ですから、プラスチックファイルからビニールに変えるなど、スリム化の努力もしてきました。しかし一時鋭意努力をしたデジタル化作戦に破れ、依然として最大のネックであることは間違いありません。
- これまでは諦められるものを捨てるという方法で、スライド減らしをしてきましたが、今回は年内にスチールキャビネット3台以内にするという目標を立てました。いくら沢山あってもそのすべてを今後に役立てられるわけではありません。よく使うケースはほんの一握りでしかないことは分かっています。まずそれ以外のものは徹底して捨てる。次には思い入れの大きかったケースだが、亡くなられた患者さんのケースをDVDにいれスライドを捨てる。これで当の目標は達成できます。作業の進行状況次第ですが、DVD化が進めばスライドレスも夢ではないと考えています。すでに3年間発表には1枚のスライドも使っていませんし、自分の持ち画像をブラウズすることも引き出すことも遙かに容易になるはずです。前回の轍は踏まないつもりですが、単純作業を継続する「忍」だけは避けられません。
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6月30日

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リサイクリング
大量消費がゴミ問題や環境問題で行き詰まり、環境保存、地球に優しい、といったスローガンが目立つようになりました。この一ヶ月の片づけ仕事につけ自分でも反省しきりなのですが、歯科臨床の現場でも考えなければならないことは多いようです。気になっている一つは石膏です。建築廃材などに較べれば微々たるものかもしれませんが、毎日かなりの量を捨てています。焼却も再利用もできないので何とか減らせないかと思ってみるのですが名案はありません。
発想の転換によって、ダム建設が中止になったり、有料道路が取りやめになったりする時代ですが、歯科臨床はまぎれもない環境問題です。口腔内環境をどうとらえるかという視点なしに歯科臨床を考えることはできないでしょう。社会的に問題になるさまざまな出来事を、そのままわれわれの立場に置き換えてみると、さまざまなことが見えてくるような気がします。ダムも道路もゴミもカラスも人ごとではなくなります。
歯がなくなればインプラント、骨がなければ膜で再生させるという最近の進歩は素晴らしいものです。しかし誰にでも確実に行えることとはいえないでしょうし、受け入れる患者さん側の問題もあります。再生療法と呼ばれる治療法に、本四架橋や巨大ダムのようなイメージがだぶってしまうのは私だけのことでしょうか。 |