デジタル・スクエア

もぐらのつぶやき

こだわりの部屋


2004年その1

1月8日



カメラのファインダー

   街中で記念撮影をしている人の大半は、片手を伸ばし液晶モニタをーを眺めながらシャッターを押しています。ビデオカメラからの影響でしょうか、ファインダーを覗いている人はほとんど見かけません。たしかに写真を撮られる側の立場になると、光学ファインダーで覗かれるより液晶モニターを眺めながらの方が緊張感はありません。レンズはこちらを向いていてもモニターに角度がついたりしていると、狙われているような感じはなく自然な表情になるようです。
   こうした状況ですからデジカメの光学ファインダーはひどく虐待されています。省電力のためについてはいても、風景写真のフレーミングなどに使える代物ではなれません。ファインダーの隅々に気を配ることなどは無理ですから、光学ファインダーなしというデジカメが登場するのも分かるような気がします。
   しかし小型デジカメはともかく、デジタル一眼レフまであの撮影スタイルということになると、ちょっと待ってくれと言いたくなります。カメラのホールドの問題も含め一眼レフの片手撮りは許せません。そう思いながら戸棚にしまい込んであったニコンF100をひっぱり出してみました。もちろん液晶はありませんから光学ファインダーをのぞきます。いやー!その広々したファインダーにはどぎもを抜かれました。D1を使い始めたころには望遠鏡を覗いているようだと感じていたのに、4年ほどの間にすっかり飼い慣らされてしまった自分にびっくりです。一眼レフよりは見づらいと思っていたコンパクトのコンタックスT2でさえデジタル一眼に負けていません。
   ファインダーを通し眼で見ていていたカメラから、液晶モニターの画を見てとるカメラへの変化は、手書き原稿からワープロへの変換に似ているような気がしました。昔の方が良かったけれどもう戻れないのです。

1月28日

カメラのレンズ
   フィルムのカメラでは使用フィルムがブロニーか35ミリに限られ、それによって標準レンズが決まっていました。35ミリに場合は人の通常視野に近いということで50ミリが標準、それ以上の焦点距離のものは望遠レンズ、以下は広角レンズと区分けされていました。一本のレンズで焦点距離が変わるズームレンズでも、標準ズーム35ミリから70ミリの時代が長く続きました。海外旅行に出かける時などもこれに広角ズームと望遠ズームをもっていれば鬼に金棒でした。
   レンズ設計が進歩しズームの幅が広がっても、フィルムのサイズは一定ですから焦点距離によって画角(写る範囲)は決まっています。レンズの焦点距離と被写体までの距離によって、ファインダーを覗かないでもおおよそのことは分かっていました。さらに被写界深度、ワーキングディスタンスといったレンズの性格も、焦点距離が同じなら一定でした。
   ところがデジタル時代になってカメラの形は似ていても、フィルムに代わる撮像素子の大きさは図のように様々になってしまいました。一眼レフタイプのカメラはこれまでの交換レンズを使うために、大きめのAPSCサイズを使っています。これでも従来の35ミリカメラよりはかなり画角は狭くなって望遠レンズのようになってしまいます。小型デジカメに使われている小さな撮像素子に同じ焦点距離のレンズを使ったら、望遠鏡と同じことになってしまいます。これでは集合写真などはとても撮れませんから、これまで画角を確保するために超広角といわれていたレンズを使っています。つまり画角はそのままに素子のサイズダウンに見合う短焦点レンズシフトしたのです。3倍ズームに使われているのは、5.6〜16.8ミリ、7.4〜22.2ミリといったレンズです。ただこう書いたのではどんなレンズか分からないので、従来の35ミリ換算値が併記されています。昔なら魚眼レンズなどいわれた超広角の特殊レンズが、どうして安直に使えるようになったのかは分かりません。それによってカメラの小型化薄型化が可能になったことも事実です。ただ前に書いたように被写界深度、ワーキングディスタンスといったレンズの性格は変わりませんから、ぼけを利用した描写や、離れて拡大写真を撮ることなどは不可能になりました。近づけば短焦点レンズ特有のゆがみも避けられず画像描写そのものが変わってしまいました。

1月29日

D1の興奮

   噂のNikon D70が発表になったようです。3月発売ですからEOSに遅れること半年、スペックに新鮮味はなく、価格はEOS Kissなみ、レンズキットなどという売り方も前にならえです。追いつくのにやっとで前に出ることはできません。デジタル一眼レフのシェアの90%はEOSということですから、残りの10%を各社で分けあっているという情けなさです。ことここに到りながら「今年度に世界シェア40%超でトップを目指す」など誰が信じるでしょうか。
   さらに問題なのはすでにデジタル一眼はAPSCサイズのカメラと割り切り、レンズキットもそれに対応した18〜70ミリに変更しながら、累積3500万本を出荷した交換レンズに頼っていることです。これらは別サイズのカメラのものが流用できるに過ぎないのに、まだ過去の遺産に負ぶさろうとしていることです。このずるさはキャノンも同じこと、Kissにしか使えないレンズをキットで売っているのですからしたたかなものです。この点ですっきりしているのは3/4撮像素子を新スタンダードとして、すべてのレンズやシステムを構築しつつあるE-1しかありません。しかしこの会社はご存じの通りOCCでこっぴどい目にあっていますから社名を書く気にもなれません。
   思い返すとアナウンスから半年間発売日を指折り数え、65万の定価もものかわ発売当日にD1を手にし、興奮の中に「D1日記」を書きまくったのは1999年のことです。独壇場だったNikon D1城がわずか4年ももたずに崩壊するとは誰が予想できたでしょうか。銀塩時代をスタートに1990年代に築き上げられた10人近い電子画像関係のお友達も周辺機器も、フィルムスキャナーを除けばすべて行方不明になりました。私はカワハギKissもプラモデルD70も持ちたいとは思いません。これらはカメラへの愛着心をぶち壊してくれた元凶であるだけでなく、写真というものへの執着も一緒に連れ去ろうとしているのです。

2月7日



マニュアル撮影の工夫

   現在わが診療室では3台のD100と2台のistDが覇権を争っています。リングストロボは在庫の都合もあってすべてペンタックスですが、D100の場合はもちろんオートにはなりません。診療室の方は合間を縫って短時間勝負なので、利便性からistD主体になっています。しかし技工室に住みついたD100党は「黄色っぽいキャノンやペンタックスより慣れ親しんだニコンの色調の方が好きだ。」と問題にしていません。
   私としてはシアンが強く地味なニコン色は歯肉には良いのですが、歯の白さは出にくくて悩んでいます。技工室でそんな話をしているとき、タムロンの鏡胴に鉛筆で書き込まれている落書きに気がつきました。撮影倍率により繰り出された位置に絞り値がかいてあるのです。私はD1の頃に作った一覧表をストロボの電源ボックスに貼り付けていましたが、どうやらこちらの方が使いやすそうです。
   ファインダーを覗いて撮影範囲を決めたら、その時のラインに示されている絞り値をカメラのコマンドダイアルで合わせて撮ればよいので快適です。おおよその撮影倍率は分かっていますから、それを合わせてしまえば、あとはファインダー内部の表示を見ながら操作できます。慣れてしまえばオートで露出補正に手間取っているより早いかもしれません。ただ鉛筆の落書きは美しくないのでテプラで表示しました。ヘリコイドに隙間があるのでテープの厚さは問題にならず、ニコンマクロの改造より簡単でした。(蔵・D1日記・1999)
   不思議なのはタムロンの90ミリマクロにはF32までしか絞りはありません。ところがニコンにつけるとボディ側には51までの表示が出るのです。レンズにない絞り値になるはずはないと思いましたが、実写をするとちゃんと働いています。ちなみに同じタムロン90ミリでも、ペンタックスではレンズにない絞りはボディ側に出てきません。

2月13日



マニュアルへの回帰

   距離を合わせた位置での絞り値を書き込んだ鏡胴のラインは、卓越したアイディアでしたが、これだけではist DのTTLオートには勝てません。何かもう一つ!とマニュアル撮影を再考しました。
   D1を使い始めた頃、画角の変化にともなう撮影距離の変更や撮影距離と絞り値のテスト結果を、小さな表にしてストロボに貼り付けていました。撮影倍率を画角の指標にして1/3、1/2、2/3、3/4、1、1.5倍の6段階のデータをプリントしたものです。細かくデータは出したものの、多用するのは1/2倍と等倍だけなので、2ヶ所は赤丸付きで表示しました。フィルム時代からほとんどの撮影はこの間の倍率で、その差は1.5絞りにすぎないのです。その後レンズをタムロン90ミリに変えたり、D100になってISOの最低値が200になったりして修正が必要だったのですが、LEDに熱中してさぼっていました。

   私にとってもう一つ厄介なことは撮影は裸眼なのですが、カメラの表示を確認するには老眼鏡が必要なことです。AFマクロレンズの距離・倍率目盛りや露出補正なども意地悪で、この点からもマニュアル撮影は避けたかったのです。ファインダー内でも必要データのほとんど見られることは分かっていましたが、文字の大きさからカメラ上面の表示パネルに依存していました。ファインダー内の情報は文字が小さくとも視度調整で守られていることに気づかなかったのです。

   問題を整理した結果カメラの設定はマニュアルモードを使い1/2倍はF22,等倍はF38という2つのデータを切り替えるだけで90%の口腔内撮影はOKということになりました。(うるさい方は1.5倍F54、側方のアップはF27〜32です。)マニュアルなので露出補正も同じコマンドダイアルでできます。撮影倍率を決めたらファインダーを覗きながら、一つのダイアルですべての操作が完了します。TTLオートが便利だといって露出補正はゼロにはなりませんから、全体としての手間はほとんど同じです。
   使い方の割り切るだけで、デジタル一眼レフ・リングストロボの縛りからは完全にフリーになれたことで、5年間の苦闘に報いられた思いです。残るはどこかのメーカーが小さな発光部と、K-Macsなみの小さな電源ボックスを作ってくれることを期待するだけです。

   ここでのデータは私の使っているカメラのISOを200に設定し、Pentax 80Cを1/4に減光したときのものです。お使いのストロボに合わせ1/2倍一つだけは実測が必要です。(撮影倍率についてはデジタルスクエア03.4.16、レンズの画角を参照して下さい。)

2月16日

EV値一覧

   Exposure valueの略で、一定光量の露出のためのレンズの絞り値とシャッター速度の関連を表にした表です。表中の数値が同じであればどの組み合わせをとっても同じ露出となるし、数値が1ずつ多くなるほど露出は1/2ずつになります。明るい被写体から暗いものまで様々な条件を網羅したもので、カメラの自動露出のベースになるものです。「夜景から雪山まで」これだけ多様な条件に適正露出を決めるのは大変なことですから、自動露出の機構が必要になったのは当然です。
   しかし口腔内撮影はシャッター速度はストロボの閃光時間に規定されて一定です。ストロボの光量も特別な調光機能を働かせなければ一定です。被写体の大きさも10センチ以下に決まっていますから条件の大きな変動はありません。この表で見ても赤枠内の3〜4EVの違いを絞りで調節する以上のことは何もないので、極論をすれば絞りをF32に固定していろいろな状態を撮影しても、パソコンで何とか調整可能な画像にはなるはずです。単純なことを永年かけて何と複雑にしてきたことかと、われながら呆れかえっています。

2月19日

D1Xの行方

   1月29日かわはぎKissだプラモデルD70だと悪態をつきまくったばかりか、そんなもの持ちたいと思わないと公言したばかりなのですが、早くも前言撤回の危機に立っています。最大の理由はこのところの「口腔内撮影マニュアル論」で何か力がぬけてしまったことです。おかげさまでD100はistDを押しのけて蘇りましたが、もう一つ気になる存在があります。プラモデルの対極にあるD1Xで、これあればこそあれこれいっていられたのですが、このところ専用電池がめっきり短命なのです。D1以来3個を使ってきましたが2本は廃棄、2003年購入のものも元気がなくAC併用になってしまいました。大きく高価な電池なのにD100の1/10ももたないような感じです。
スペアがなくては外にも持ち出せないので、あの巨体ともどもコピースタンドに居座る日々がめっきり長くなりました。以前から高級スキャナーなどと後ろ指さされていたところにCoolscan5000が帰ってきて、いよいよ肩身がせまくなっているのです。
   あのD1もすでにありませんが、こちらは中身と表示のX以外全く同じのD1Xへのバトンタッチで諦めもつきました。しかしD1Xも居なくなってしまうとフィルムカメラの感触を残したデジタルカメラはなくなってしまいます。一方、新製品になるたびに電力消耗、動作性、色調などは価格に関係なく向上していくので、どうしてもトコロテン方式にならざるをえないのです。カメラだけでなく写真そのものに対する愛着も、利便性にかき消されていくのをさびしく感じ、時々F100をなでまわしたりしていますがフィルムはなかなか入りません。歯車がマイコンに変わり始めたときから始まった変革はカメラを家電製品にしてしまったようです。

2月27日

家電の買い換え

   いろいろ悪口はいっていますがPentax → Nikonという路線は変えられず、マニュアル使用でリングストロボの束縛もなくなって、先週末はD70を見に行ってきました。ニコンL型デジカメ風のシャッターボタンまわりや、一眼レフエントリー機そっくりのダイアルまわりなどは好きになれませんが、全体のプロポーションは悪くありません。動作の俊足ぶりは目を見張るものがあり、メニュー画面の見やすさとともに魅力的です。鮮やかになったという色調やスペックダウンになったファインダーなどは使ってみなければ分かりませんが、「消耗品の機能を買うのだ!」と自分に言い聞かせてカメラから家電への交替を決めました。
   次の心配はD100の運命です。D70と併用始めれば姿形は多少ましでも勝ち目はなくなります。D1が2年、D1X が2年半で使命を終えましたが、 今年の6月にはD100もデッドラインに達します。今年のPMAでも、多くのデジタル一眼がレフが発表になりましたが、手を出したいものはありません。秋頃にはD2Xのアナウンスがあるでしょうが「製品寿命2年の家電」に成り下がったいま、またも大散財をする気にはならないでしょう。そうでなくてもデジタルになってから撮像素子の影響で、標準ズームも18〜35ミリ、24〜85ミリを経て18〜70に変わろうとしています。どうみてもはじめの2本は使い勝手が良くありません。何とかしてほしいものです。


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