| 白い歯と透明感 |
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明眸皓歯という言葉の通り白い歯は万人の憧れといってもよいでしょう。しかし同時に得難いものであることも事実です。
白さと一言でいっても、雪の白さと紙の白さは違うようにいろいろな白さがあります。歯の白さは外側のエナメル質と内部の象牙質で作り出されます。エナメル質はガラスのように固く透明な組織ですから、内部の象牙質の色に大きく左右されます。進入路が見つからないような小さな虫歯でも、象牙質の部分では急速に進むことがありますが、こんな時歯は全体に黒ずんで見えます。エナメル質を壊さないようにして裏側に白っぽいセメントを張り付けると、歯の色はがらりと変わってしまいます。エナメル質が薄く張り付けたセメントが完全に不透明な場合にはセメントの形がそのまま見えてしまいます。
歯の色調は全体としてもかなり透明度を持っていますが、その度合いが違う2つの組織でブレンドして作り出されていることが分かります。前歯は奥歯に較べて厚みがないだけに透明度は思いのほか高いものです。一方口の中には照明はありませんから透明度が高いとどうしても暗い感じになります。白い歯にしたいという願望は不透明にして行けば得られやすいのですが、度が過ぎればペンキを塗ったような立体感のない白さになってしまいます。前歯を治す場合もホワイトニングをする場合にも透明度は重要なキーワードなのです。
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ぱっと見ただけでは違いはよく分からないが
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バックライトを当てると内部の違いがはっきりする。
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術前、不透明でグレーがかっている。
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内部のメタルが透過している。
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メタルがないので歯と一体になり色に深みが出る。
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長い間、歯の修復にはメタルや既成の人工歯が使われてきました。製作には切ったり曲げたりという板金加工のような方法が使われました。20世紀に入って精密鋳造の技術が応用されるようになってからも、メタルが主体であることは変わりませんでした。前歯ではメタルと既成陶歯を組み合わせて使いましたが、色や形を自在に作ることはできませんでした。
1960年代になって金合金にポーセレンを熔着させる方法が開発され、ようやくメタルを露出させず修復ができるようになりました。この技術のもたらしたものはきわめて大きく、色調や形態も個々に調整できるようになって、その後10年ほどの間に広く使われるようになりました。メタルボンドと呼ばれる方法で画期的であったことは事実ですが欠点もありました。
- メタルを露出させないようにするに歯全体にかぶせるクラウンにしか使えない。
そのため小さな虫歯でも歯の周り中を削らなければならない。
- 内側に金属があるのでその色の影響をうける。
それを避けようとすればさらに歯を削らなければならない。
1990年代になって金属の裏打ちなしに、歯と同色の材料でつめたりかぶせたりする方法が復活してきました。オールセラミックスなどと呼ばれる方法です。同じような方法は昔から使われてきたのですが、技術的な制約や強度不足から普及はしていませんでした。材質が改善され加工法が容易になり、セメントも進歩したことから次第に脚光を浴びるようになりました。メタルを使わないことで幾つかの利点が生まれます。
- 金属で色が遮断されないので自然な色調が再現される。
- 歯を余分に削る必要がない。
1992年から積極的にオールセラミックスに取り組みはじめました。初期にはセラミックスにもセメントにも欠陥製品があり、患者さんにもご迷惑をかけましたが、94年からは安定した結果が得られるようになりました。いま前歯部にメタルボンドを使うことはほとんど無くなりました。天然歯の上に装着されたオールセラミックスの自然観は、われわれでも健全な歯と見まがうばかりです。また着色のある歯の表面一層だけをセラミックスに変えて、歯の色を改善する場合にもしばしば応用しています。
ハイブリッド・セラミックスという素材も同じ用途に使われますが、耐久性に疑問があるので私たちは使用していません。
オールセラミックスについて私達が発表した論文は以下のものです。
- 1995年1月 歯界展望 Vol. 85 No.1
ここまできたオールセラミックスの臨床応用
- 1996年1月〜3月 歯界展望 Vol. 87 No.1〜3
新しいセラミックスへの期待と蹉跌
- 1998年1月 歯界展望 Vol. 91 No.1
「新しいセラミックスへの期待と蹉跌」その後
日歯生涯研修ライブラリー「オールセラミックスの臨床」
臨床ケース
- 1 . 古い差し歯の外側だけを新しいオールセラミックに被せ変えました。
- 2 . 支台歯がきれいな歯の場合はオールセラミックが最適ですが、大臼歯には破損の危険があります
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